R3の開発

R3マタドールの開発

 ここでは、R3マタドール開発に関わった、ドイツのバレルメーカーのLother Walther社、チェコのペレットメーカーのJSB Diablo社、そしてR3マタドールをとりまとめたEDgun社の開発のお話を書きます。


取扱説明書には・・・

 取扱説明書には、バレルについては下記の通り書かれています。

 バレルは、ドイツの Lother Walther社製で、EDgun 社により作られた仕様書と図面により製造されています。

 また、チェコ共和国の JSB Dablo 社の鉛製ペレット用に設計されています。
 その他のペレットの使用は精度低下を招く可能性があり、エドガン社の保証の範囲ではありません。


素朴な疑問

 LW社とJSB社は、世界的に有名なバレルメーカーとペレットメーカーです。素朴な疑問として、すぐにあがってくるのは・・・

  • LW社で作られている競技グレードのバレル、R2.5マタドールにも使われていたバレルと何か違うのでしょうか?
  • 本当に、EDgun が作った仕様書、図面に基づいて作ったものがいいのでしょうか?
  • 他のペレットで精度低下があるかも知れないとは、そこまでこだわったものなのでしょうか?

 という素朴な疑問に、ここでは開発の経緯も含めて解説していきましょう。


バレルの開発

 エドがR3マタドールをデビューさせるにあたり、LW社と JSB社と共同した開発について自身のフォーラムに投稿したので、解説しましょう。

 過去1年間、我々はバレルを含む多くの研究を行っており、バレルについてはドイツの LW社と緊密な協力関係のもとで研究を進めてきました。

 バレルの研究中に、様々なツイスト、内径、グルーブを試み、最終的には材料選定にまで至りました。

 そしてついに、LW社で大量生産されているバレルを購入するのではなく、我々が真に求めるバレル、完成したR3マタドールの特定の要求事項に基づいて作られたバレルを、 LW社で製造委託し、手に入れることができるようになったのです。

 LW社のGerd Walther氏には、とても感謝しています。初めてIWA2010の展示会で説明したときは、「バレルは研究と試験され尽くした完成品であるのに、なぜ今さらこれだけのツイストや圧力等を変えて試験する必要があるのか?」と困惑されました。しかしながらWalther氏は、我々の求めるバレルを作るのに必要な新たな製造ツールの製作をはじめ、我々の要求に真摯に取り組んでくれました。

 もちろん開発は容易ではなく、安価でもないのは明らかです。しかしながら、LW社は我々の支払いに対して、プロとして結果を返してくれました。大量生産されているバレルを購入することと、特注バレルを作ることは、全く異なることなのです。我々の特注バレルは、大量生産されているバレルに対して100%高いのです。

 現在、バレル固定用のねじ加工、チャンファー/クラウン処理もLW社で行われています。バレル内面の鏡面加工も含め、特注バレルの全ての機械加工がLW社で行われています。

 バレル内面については、R2.5マタドールでは、定期的に内面をクリーニングしなければいけなかったことは認めざるを得ません。古いバレルでは、数百発発射するとバレル内部に鉛が蓄積し、クリーニングパッチに付着しました。

 しかしながら、新たなR3マタドール用の特注バレルの内面ははるかに表面がなめらかです。このバレルでは、2500発撃ってもパッチは少し色が黒みを帯びるだけで、付着物がつくなどは論外です。この差が、R3マタドールのより高い精度につながっているのです。

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こちらが、R2.5に使用されていた量産バレルの断面です。表面は細かくみるとざらついています。

 

こちらが新しい特注バレルの断面です。R3マタドールの遠射性能の良さは、ここから始まっているのです。

 このバレルは、R3マタドールのオーナーが最も求めているものを提供してくれます。それは射撃性能の安定性です。

 加えて、バレルにねじ加工をして、ブリーチにねじ込む形にしたたため、以前よりボアの変形が少なくなりました。ねじ加工された側のボアは、ペレットとプローブ挿入用に解放されており、ここ以外のバレル部分はクランピングによる影響を受けないようになっています。R2.5マタドールのバレルは2ヶ所でクランプされており、きつく締めすぎた場合、2ヶ所でチョーク効果が出てしまう形となっていたところが改善されました。


ペレットの重要性

 バレルと射撃結果を語る際、R3マタドールのペレットに何を使用するかという重要な問題を無視すると、誤った結果に至ります。

 今日現在、私の見解ですが、JSB社のみが我々が求める精度と安定性を提供しています。

 EDgun社はJSB社のロシアでの独占代理店であるからそのようなことを言っているのだろう、という人はもちろんいるでしょう。ですが、視点を変えてみてください。私がJSBの品質に自信がなければ、これほどJSBにこだわって特注バレル開発することも、JSB社の代理店になるために努力することもありえません。

 私は、JSB社とは5年以上共に働き、ビジネスの関係だけでなく、本拠地チェコ共和国のオーナーとも個人的によく知り合い、友人として彼らのペレットをテストしてきました。その工場では、どのようにペレットが作られているか、どんな人たちがペレットを作っているか、どのような姿勢で取り組んでいるか、私は熟知しています。それ故、私は彼らのペレットを品質を熟知しているのです。

 であるからこそ、我々のテストは全て彼らのペレットで試験し、そのペレットで最高の性能が出るようにR3マタドールを設計したのです。


まとめ

 分かって頂けましたでしょうか?

 エアライフルメーカーで、十分な試験をして性能が証明されている特定のペレットにこだわり、そのペレットを最高の精度で発射するための、ボア径、ツイスト、表面処理をした特注バレルを開発した会社が、世の中にどれだけあるのでしょうか。

 EDgunのずば抜けた射撃精度の秘密は、可能性のある最高の結果を得るために、そこまでやるかという道のりを、努力を重ねてひたむきに進んできた結果なのです。


元ネタ

 ニュージーランドでEDgunのリプリゼンタティブをされているWingman氏のブログをベースに、エド本人から聞いた話を得られた話を混ぜて、エドの思いが伝わるように意訳しています。

リンク:http://nzairgun.com/forum/index.php?topic=303.msg2041#msg2041


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